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40で生まれ変わる

鷹の選択…鷹は40年以上生きると、何もせず死ぬか、自らクチバシを折り爪をはぎ羽根を抜いて生まれ変わり30年生き延びる。自分も40才を超え、今のままでは生きていけないことを悟り、起死回生をしなければ…

「サラバ!(上巻)」読みました。

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「サラバ!(上巻)」/西加奈子

 

読みました。おもしろかったです!遅読の私が8時間(375p)ほどで読めました。(普通は3~5時間くらいなんでしょうか…?)

早く下巻を読みたい!ですが、図書館の本は貸し出し中。予約しました。今だ人気があるのですね。確かにおもしろかった。

 

私が小説1冊読むと普通なら1週間以上はかかると思います。

状況・人物描写が細かいので、イメージを思い浮かべながら読みました。すると細かいことにあまりつまずかず、すらすらっと読めました。

とはいえ、いちいち頭の中で音読しているので(じゃないとちゃんと入ってこない)やっぱりかなり遅いようです。

知らない言葉・漢字もときどき出てくるので、それはどうしても気になるので調べながら。

 

まだ上巻だからか、話はあまり進んだ感じはしません。

 

1977年イラン生まれの主人公。著者の西さんもそうなので、自分の経験や半生を織り交ぜた物語なのでしょうか。主人公は男性ですが。2014年の今、37歳の主人公が語る形式のようです。段々と今に近づいていって、今に至って話が動いていくのか結するのか という感じでしょうか。

 

主人公が子供の頃の回想をし続けて、やっと高校時代です。

描写が細かいです。特に人物の。何度も同じようなエピソードを繰り返すので、一人ひとりの特徴や価値観、思考などが強く印象付けられました。主人公の目を通して、周囲の人々の位置づけがされます。自分も主人公になったかのように感情移入して読むには、省略できない要素なのだと思います。(正直、くどくて(失敬)、何度か飽きてしまって休憩を挟みました^^;)

 

主人公は常に周囲の空気を読み、自分を守るために、ときには愛想を振りまき、ときには気配を消し、ときには要人にうまく取り入って安全な「二番」の座に就き、ときには大事な人を欺き、ときには意に反することも受け入れたフリをし、自分の感情を押し殺し、器用に生きていきます。

でもその実、我慢や自責の念は鬱々とたまっていくようで、自分を守るために人を利用した後に、自分に対して嫌悪感を抱いたりします。そのうちにそんな感情は捨て去り(でも時折顔を出します)、その失敗を糧に今度はうまく対処していきます。

誰でも結構そういうところはありますよね。

 

主人公は「自分は美少年で性格も良い」と、自信と自覚があり、読んでいてそれがいちいち鼻につきます。わざとでしょうね。

そのくせ、中学、高校時代の彼女や女の子に対して、「自分のかわいさへの自覚を隠しつつアピールするいやらしさ」に嫌悪感を抱きます。反して思春期の自分の体の反応を抑え切れません。

その辺りの描写は、性は違っても理解できる部分が多く、なぜ男子は女子に対して不可解な行動をするのか の理由が改めてよくわかった気がしました。性欲と友情のせめぎ合いなのですね。女子からするとばかばかしく腹立たしいですが。

男性は「周囲(同性の仲間)の中の自分」が第一目標で、女性は「自分の所有物(男性)」が第一目的なのかも と思います。

男性の残酷さ、女性の醜さは、中高生時代が一番わかりやすく表に出るのかも。まだ自覚しておらず、隠そうとしないから。

 

* * *

 

 私の中高生時代は、まったく男関係がなかったですが(淡い片想いは小学3年の頃からあって、人知れず何年も想い続けるほど一途でしたが)。遅咲きというか。

大学1年のときにできた初彼氏が、クラスでも目立つイケメンというか、一目置かれるような人だったので(半年しか経っていないのに顔が広く有名人)、よく「なんでA(私)がB(彼)と付き合ってるの?」という目でよく見られました(特に女子から)。私的にはたまたまという感じです。きっかけと勢い・流れがあって、話・ノリが合って、普通以上の(自分的にOKな)外見であれば誰であってもよかったような。付き合ってからは、好きとか愛情じゃなくて執着でした。まさに自分の所有物(男性)」的な。今思うと、あの人と別に付き合わなくてもよかったな、なんで付き合ったんだろ?という感じ。。実は、彼と付き合う前に、仲の良い先輩からマジ告白(結婚前提)されてあっさり振りました(苦笑)あの頃からチャラくて女の扱いに慣れているタイプに惹かれる私…。真面目に告白されるより、流れで付き合う方がワクワクするのです…。バカだけど純粋なのです。戦略などない。欲が無い(性欲だけ)。先のこと(結婚とか)なんか考えない。そもそも付き合うことに積極的ではない。自分から行った(言った)ことがない。そのときの「好き」という気持ち(という錯覚)に正直に。

だからこんなふうに…。あぁ・・・。

 

* * *

 

主人公がこうなってしまったのは、生まれながらに抗えない家族との関係性のせい。それは誰しもあること。人の性格や価値観、対人反応って、両親や兄弟に左右される部分が大きい。同性には仲間意識(女性は表向きだけ)、異性にはこわごわ。相手がSなら自分はMになる。その逆も。

主人公の、女性に対する諸々は、強烈な人格を持つ姉と母によって確立されました。

主人公が初めて見た遺跡がピラミッドだったため、その後、どんな遺跡を見てもさほど感動しない呪いがかかってしまいました。女性についても、最初から長きに渡り、最強最悪の姉と母(母は姉に比べればそれほどでもないのですが)に接し続けたため、その辺の女性にさほど感動・関心もなく、単なる性欲の対象として軽く見ている感じがします。

反して男性には、安心感と居心地の良さを感じ、居場所やパートナー、よりどころとして非常に大事に扱います。精神的ホモであると自覚もある様子。仲良くなった男友達を愛しすぎて独占欲に溺れることすら心地よい。これって立派なホモですよね。。

 

* * *

 

男性ってやっぱり、みんなホモな部分があるのかなぁ?私には介入できない部分なのでちょっと悔しいです。私には女友達に対して独占欲やレズ的な気持ちはまったくありません。むしろ、男友達に囲まれている方が心地よい。「友達」って感じがします。でも、私がいると話せないことがあるような、男しか介入できない空気は感じます。女に対しての欲的な。それは仕方ないです…(男に生まれたかった!)。

そして、男女の友情には、性的な感情が少しでも入ってくると崩れてしまうのですが…。崩れても持ち直して、以前よりも友情が深まることもあります。なんでも話せる相手。「A(私)のことはもうなんでも知ってるからさ(笑)」裸の付き合いをした男同士みたいな…。疎遠になって久しぶりに話しても、いつも接しているかのようにすぐに話が合う相手。やっと友達になれたのかな とうれしくなります。相手はどう思っているかわからないけど。

 

* * *

 

そういう大事な男友達を二人ほど経て、上巻は終わります。

 

いろいろなことが起きるのですが、所詮、両親の庇護の元、自分の人生にまだ決定権がない主人公。学校や放課後の出来事くらいで、さほど展開もありません。

この小説の前提・前置きを丁寧に説明されているような感じ。

それでも時折興奮や共感をする場面もあり、おもしろいです。

 

* * *

 

一家離散は、ドラマティックですよね。子供がいても離婚しちゃうんだ…。よっぽどなんだな。

…って、私の両親も、私が5歳くらいのときに離婚してました(笑)

私も、自分の性格や人格は、家族の影響がかなり強いと思います。

顔すら覚えていない父親ですら、その存在感は大きいのです。男や結婚に期待を抱けない呪い…。

 

私にこの本を薦めてくれた友人も、主人公に似た部分があるなぁ、結構似てそうだなぁ と思いました。

彼も二人姉がいて(だからか女性の扱いや対応が非常にうまいし慣れている、甘えるのがうまい!)、両親は2011年(震災の年)に離婚したとか。子供が大人になってから離婚だからまだマシだなと思うのですが「もう父親に会うことは父の葬式以外ではないだろう」と彼は言っていました。父親のこと、嫌いなのかな?私からは特に何も聞きませんでした。「母親は離婚して幸せそうだ」と言っていたので「よかったね」と言いました。私の母も私が大人になってから「離婚してほっとした。幸せよ。」と言っていたので。

 

私の中では、両親の離婚や、母子家庭、父親がいないことが、普通のことなので、そのことが特別だとも思わないのですが、やはり自分はそれにかなり影響されて育ったんだな、拭い去ることはできない と感じます。まさに呪い。

親は、嫌いになった相手と別れてせいせいするのかもしれませんが(母は父を嫌いになったわけではなくて、父がいると生活ができないという危機感からやむを得ず離婚をしたそうです)、子供は何もいわなくても、影響を受けているということ、平気ではない(自分にとっては普通だけど、やはりいろいろありました)ということ、少しは思い知ってほしいものです。

母親の両親は立派にたくさんの子供を育て上げましたからね(いい親かどうかは知らないけど)。母には私の気持ちなんてわかるわけがないのです。

 

母が今更ながら「やっぱり、○ちゃん(私)の子供、見たかったなぁ って思うね」と言いました。今までは「好きに生きたらいいよ。お母さんは何も望まない。まぁ、一回くらいは結婚してもよかったと思うけどね…」と言っていたのに。

「今更そんなこと言っても遅いよ」と言い返しました。母が望むなら、私はもう少し積極的に子供を作ろうと思ったかもしれません。そのせいではないですが。

少し引っかかった ということは、親の期待に応えたい気持ちがあるのかな?そう言われて少し嬉しかったのも事実です。それまで期待なんてされたことがなかったので…。昔は「親が決めた○○に従わされる」ということに憧れました。でもそれって大体金持ちの家庭だよねって早々に諦めました。

母は放任主義で、子供に期待はかけず、「好きに生きよ、人に迷惑をかけなければ何をしてもいい」としか言いませんでした。

 

私にとってはそれも呪いだったのです。

人に迷惑をかけない ということが、人に深く関わらない(私と付き合うと、何がしか迷惑をかけてしまう、逆にかけられることもあるが)という結論に至ってしまいました。

 

呪いは、かけた方はそんなつもりはなくても、かけられた方は、実は自分の思い込みが原因だとしても、なかなか解くことができません。

厄介です。

 

自分を少し俯瞰的に見られるようになってきて、太宰治芥川龍之介といった(サラバ!にも少し出てきます)純文学を読んでみたい と思うようになってきました。

青空文庫で無料で読めますね。

やっと本を読める年になったのかな。(年は関係ないか)